君の笑顔に涙する


 「ねえ、午後のね、現文の授業でおもしろいことしたの」

 「へえ、なにしたの?」

 「好きなものと、嫌いなものを書くの」

 ──凛の、甘く、優しい声が木霊する。

 「おもしろいの、これ」
 「おもしろいよ。ねえ、有もやってよ。有の好きと嫌い、知りたいな」

 ──凛は、本当にそう思っていたのだろうか。

 僕の頭に、嫌な想像が、一昨日からずっとグルグルと回っている。

 昨日……気づいてしまった、凛が忘れたものの一貫性。

 それが、一昨日からずっとグルグルと頭の中を支配している、嫌な想像を、確信へと変えた。


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