裏切り者の君へ
9月12日
なんだかなし崩し的に松田さんとホテルに行くようになってしまった。
最初は1回だけでそんなつもりなんてなかったのに。
でも彼とは体の相性が合うっていうか。
それともやっぱりわたしはずっと男の体を求めていたのかな。
松田さんに抱かれているとき雪也のことを思い出さないわけではない。
それどころか何度も松田さんを雪也だと思って抱かれている。
興奮してくると思わず松田さんの頭を掴んじゃうんだけど、松田さんの髪は短すぎてわたしの指からすり抜けてしまう。
雪也の髪はもっと長い。
松田さんにもっと髪を伸ばしてって言ってみたら、いいよって言ってくれた。
けっこう優しい人なんだな。
雪也にはかなわないけど。
松田さんがわたしのこと來夢って呼び捨てにしようとしたから嫌だって言った。
なんて呼ばれたい?
って聞かれたから白石さんでお願いしますって言ったら大笑いされた。
それでも分かったいいよ、って言ってくれた。
なんだかちょっと松田さんに悪い気がしたけど、後にも先にもわたしのことを來夢って呼び捨てにしていいのは雪也だけなんだ。
雪也以外の男に來夢って呼ばれたくないんだ。
それにしても松田さんの性欲はすごい。
今までどれくらいの女の人としてきたの?
って聞いたら、以外と普通の数だった。
性欲が強いからって手当たり次第寝ているわけではないと松田さんはきっぱり言い切った。
若い頃は少し遊んだこともあったけど今はそんなことないらしい。
わたしのこともわたしとしたくて声をかけたんじゃなくて、純粋にいいと思った、って言ってくれた。
でも松田さんとしている時、ときどき怖くなることがある。
1度スイッチが入るとわたしの体以外なにも見えてないって言うか、なり振り構わずって言うか、ちょっとレイプっぽい時もある。