NEXT 2U
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 チャイムが鳴り響く三秒前に、俺は教室の敷居を跨いだ。
 計算通りの刻に鳴き始めた始業鐘を労いつつ、ここまで精密にわかるなら滑り込みセーフの快感よりも朝のゆとりを楽しんだほうがいいのではと思っている。この反省を万が一翌朝まで持ち越せたら実行しよう。
 昇降口からの全力疾走は俺の体中を火照らせていた。顔に両手をあてる。赤くなっているだろうか。部活焼けに感謝する数少ない瞬間の一つがこれだろう。
 重いナイキを肩から外し、適当に掴んだファイルを団扇にしているとSHRが始まった。
 つまりそれが良くも悪くも、ここからまた俺のいつも通りの毎日が進んでいきます、の合図なのだ。
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