NEXT 2U
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「ありえないね、最高点の人」
有り得ます。全然有り得ます。若者の言葉の乱れです。有り得ますから。
「うちらやばぁい」
キャハハハと高い声は俺の鼓膜をジリジリと揺らす。
 不快だ。
「てか吉田くんすごくない?」
「ね!!天才。羨ましいし」
 彼女たちは俺を褒めているのだろうか。まあこのクラス吉田俺しかいないですけど。
 女子の前だと態度が変わる馬鹿の気がしれない。
 俺にとってはあの笑い声もあの喋り方も、基本的に忌むべき存在だった。
 彼女くらいだろうか、俺が受け入れ可能な人は。


 それでも、
「数学って意味不明だよね」
「ランキング載る人、すごい」
俺は嬉しいのかもしれないな。
 返却された数学のテストを見る。
 解答と平均点、成績分布、上位者番付。
 クラス一位か。
 意外と大したことねぇな、この学校。
 一番最初の数学課題テストで学年3位をとって、それ以来俺の名前はランキングにある。
 まあ、当然、ですけど。
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