ずっと君だけを…
グイッ
タクが私の手を引っ張った。自転車に乗っていた私は、自転車ごと転んだ。
「っつ… 痛い」
右膝をすりむいていて、血がうっすらと見えていた。
タクは、何も言わずに自転車をおこして、私の手を引っ張って歩いていった。
「タク…。ねぇ? なに怒ってんの?」
「…………」
「ねぇ、タクったら! ねぇ?」
「黙って、ついてこいよ!」
初めて聞いた、タクの声だった。いつもの声とは全然違う、怒りに満ちた声だった。
私は、おびえたまま、ただ後ろをついていた。