パクチーの王様 ~逸人さんがあやしい物を見ています~
昼の休憩時間。
芽以《めい》が二階から下りてくると、窓際の席に座った逸人《はやと》が熱心に広告のようなものを見ていた。
……逸人さん、広告とか見るんだ?
今日は牛乳が安い、とか、明日は卵が安い、とか見ているのだろうか。
似合わないな、なんとなく……。
いや、材料が足らなくなったら、近所のスーパーに買い出しに行くこともあるのだが、それは芽以の仕事だし。
そんなことを思いながら、なんとなく柱の陰から窺っていると、逸人は広告を見たあとで、外の通りを眺めている。
そして、また、広告を見る。
なんだろう。
嫌な予感がするんだが。