パクチーの王様 ~逸人さんがあやしい物を見ています~
逸人が布団を敷いてくれる。
芽以が布団に入ると、
「今日はもう寝ろ。
おやすみ」
と言って、キスしかけた逸人だったが、何故かやめた。
少し迷って、そっと芽以の肩に手を触れると、隣に横になり、身を寄せてくる。
芽以の頬におのれの頬を寄せて、じっとしていた逸人だったが、しばらくして起き上がると、
「……おやすみ」
と言って出て行った。
なんだろう。
逸人さんが少し挙動不審なような。
大概の場合、不審なのは、私なんだが……と思いながら、芽以は布団を握りしめ、閉まった扉を見つめていた。