パクチーの王様 ~逸人さんがあやしい物を見ています~
「は? 逸人が近寄ってこないって、なんなのよ」
お昼の営業時間が終わる間際に、静と店にやってきた日向子を芽以は店の端まで連れていった。
「それが、なんだかわからないけど、昨日から、逸人さんに妙な距離を取られてるんです」
とひそひそと話すと、厨房の逸人を見た日向子が、
「あんたが早く妊娠してるかどうかハッキリさせないから、イラついてるんじゃないの?」
と言ってくる。
即決即断の人ですもんね……。
「でも、なんか期待が重くて。
違ったらどうしようとか考えちゃって。
ああ、逸人さんのじゃなくて、お義母様とかの」
ああ、となにやら思い出すように、日向子も頷く。
「もうベビー用品一式、特注する勢いよ、あれは」
ひーっ。