パクチーの王様 ~逸人さんがあやしい物を見ています~
……あれだけ強引に結婚しようとしたのに、実は、繊細だな、日向子さん。
っていうか、もしかして、それで圭太のことを確かめるのが怖くて、静さんと居るのだろうか。
小声だったのだが、聞こえていたらしい静が読んでいた雑誌を置いて、こちらに来た。
「確かめればいいじゃん、二人とも。
はい、芽以ちゃんは検査薬取って来て。
日向子ちゃんは、圭太のところに行ってきて」
ひーっ。
類は友を呼ぶってほんとだな、と思う。
所詮は親友。
温厚そうに見える静も逸人と同じで、即決即断の人だった。
「嫌だって言ってんでしょっ、この莫迦っ」
と腕をつかまれ、日向子は叫ぶ。
「だって、そんなぐずぐず言ってるの、日向子ちゃんらしくないよ。
君は、常に上から目線で人を罵ってないと。
なんだか落ち着かないよ」
「ねえ、貴方の中の私ってどんなの……?」
と日向子は言うが。
すみません。
私の頭の中の日向子さんもそんな感じです、と芽以は心の中で詫びていた。