パクチーの王様 ~逸人さんがあやしい物を見ています~
「お前が静を好きになっても嫌だし。
 静がお前を好きになっても嫌だし」

 突然、そんなことを言い出す逸人に、芽以は、いや、それはないと思いますけど……と思う。

「お前が何事もない状態なら、突き飛ばしてでも、静の視界に入らないようにするんだが」

 いや、どのようなときでも突き飛ばさないでください……と思っている芽以に逸人は言ってきた。

「悪かった」

「え」

「なんだかお前に触るのが怖かったんだ。
 お前と居ると、強く抱きしめたくなるから。

 お前とお前のお腹の子どもに障《さわ》るんじゃないかと思って」

「逸人さん……」

「そこっ、いちゃついてないで、止めなさいよっ」
と日向子に怒鳴られた。




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