パクチーの王様 ~逸人さんがあやしい物を見ています~
いや、よく考えたら、お母さんも結婚したての頃があったんですよね?
このような攻撃を親や姑さんから受けて困ったのではないですか?
と思ったのだが、それはもう、彼女にとっては、遠い過去のことのようだった。
「まあ、気を落とすな。
まだ結婚したばかりじゃないか」
と出張先から荷物を置きに帰っただけだったらしい聖が、芽以の髪をくしゃっとやって出ていった。
……ちょっとだけありがとう、兄。
「ほら、これ、持って帰りなさい」
と母がタッパーにおかずを詰めてくれたので、ありがとうございます、といただいて、芽以は実家を後にした。