パクチーの王様 ~逸人さんがあやしい物を見ています~
芽以は焚き火の側にしゃがんでいた。
そこがあったかそうだったからだ。
「うわっ」
とまたスーツ姿のまま、焚き火の前にしゃがんていた圭太が、いつの間にか側に来ていた芽以に気づいて、声を上げる。
「どうした、芽以」
と問われ、何処から話したもんかな、と悩んだ芽以は沈黙してしまう。
「……火、あったかいね、圭太」
と汗をかきながら言うと、同じく汗をかきながら火にあたっていた圭太が、
「元気出せよ」
と言ってきた。
うーむ。
元気のない圭太に、元気出せよと言われてしまった。
心配かけてはいかんな、と思っていると、逸人がやってくるのが見えた。
ひっ、と身構える。