パクチーの王様 ~逸人さんがあやしい物を見ています~
「私も最初はこのくらいしか出なかったのよ。
 明日、病院行ってみてっ」

「ええっ?
 芽以さん、おめでとうございますっ」
と側に居た彬光が言う。

「いや、まだわからないから」

「そうよ。
 わからないからっ。

 私が騒いでおいてなんなんだけど、ハッキリわかるまで、そっとしといてあげてね」
といろいろトラウマがあるらしい水澄がフォローを入れてくれた。

「私も翔平ができたとき、噂に聞くみたいに、酸っぱいものを食べたくなったりはしなかったんだけど。

 すごく食べ物の嗜好が変わったから、もしかしてと思ったのよ」

 振り向けば、逸人はまだ、衝撃を受けたような顔のまま、止まっている。

 いや……、なんなんですか、その置いてかれたような顔は。

 喜んでくださいよ。

 ねえ……。
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