パクチーの王様 ~逸人さんがあやしい物を見ています~
芽以は、ぱふん、と逸人の胸に顔を埋《うず》めてみた。
逸人さんの匂いだ。
パクチーの匂い。
だが、二倍好きだと思ってしまうのは、パクチーの匂いが好きになったからじゃなくて。
お腹のこの子も逸人さんを大好きだからかもしれないな。
そう思ったとき、逸人の手が顎にかかり、芽以を上に向かせた。
芽以の瞳を見つめ、ちょっと笑った逸人は、そのまま、そっと口づけてくる。