好きだから傷付ける
去って行く鬼藤くんの背中が
脳裏に焼き付いて離れない。
でも、実際に私は
鬼藤くんの事を怖いと思ってしまった。
どんな噂を聞いても平気だった。
鬼藤くんが人を殴っていても平気だった。
だけど、殴られた時に見た
鬼藤くんの表情は怖かった。
それが、悔しかった。
泣き崩れた私の元へ真由さんが
駆け寄ってきてくれた。
真由「美空、大丈夫か?
すぐに傷の手当てするから。
そんなに泣くな。」
美空「...そうじゃない。」
真由「じゃあ、何で泣いてるんだよ!」
美空「何で私は怖いと思っちゃうの?
鬼藤くんの事、大好きなのに
大好きな人なのに...怖かった。
嫌だよ、嫌いになりたくないよ。」