好きだから傷付ける

川の流れる音だけが聞こえた。
1分だろうか。10分だろうか。
どのくらい時が流れたのかは分からない。
だけど、私にとっては長い沈黙の後
鬼藤くんは言った。

雅來「...そんな訳ないだろ。
俺は、滝川の事を殴ったんだぞ?
そんな男と一緒にいて
幸せになれる訳ねぇだろ。
俺はこれから先も滝川の事を
また殴るかもしれない。
ムカつく事があったら滝川を
殴るかもしれない。
そんな男、最低だろ。」

こちらを見る事なく
川の流れをじっと見つめていた。

美空「うん、最低だね。
そんな人、こっちから願い下げ。」

雅來「...そうだよな。」

美空「でも、鬼藤くんは
そうならないと思う。
ムカつくから殴る人じゃないと思う。
私を守ってくれたんでしょ?」

でもね、ちゃんと知ってるんだ。
木島くんが教えてくれた。
鬼藤くんの本当の気持ち。
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