好きだから傷付ける

美空「いっくんに言われたから。
私と別れようとして
思ってもない言葉で傷付けて
でも私があんまりにもごねるから
どうしたらいいのか
分からなくなっちゃったんだよね。
私を守る為に自分とは一緒に
いない方がいいって思ったんだね。」

鬼藤くんは
うんとも、ううんとも言わなかった。

美空「私もね、殴った事あるよ。
思ってもない言葉で傷付けた事あるよ。
小学校の卒業式の日。
お父さんの転機が決まって
私もそっちに行く予定だった。
でも、行きたくなくてお父さんと
喧嘩になって、大嫌い!って
お父さんの事、殴っちゃった。
ものすごく後悔してる。
今日にでも謝りたいと思ってる。
だけど、まだ謝れてないんだ。
それ以来気まずいままなんだ。」

橋の上を通り抜ける風が
私の体を震わせる。
寒さのせいなのか後悔のせいなのかは
私にも分からない。
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