好きだから傷付ける

雅來「じゃあ、無駄だったな。」

美空「え?」

雅來「滝川のために作ってきたんだ。
自分の分と滝川の分。」

そう言って鬼藤くんは
私にお弁当を差し出した。

おかしかった。鬼藤くんが
お弁当を作る姿が想像出来なくて
おかしくなったというよりも
私と同じ事を考えていた事が
おかしかった。

美空「...私も。
作ってきたの。お弁当。」

体の後ろに隠していたお弁当を
差し出すと鬼藤くんは笑ってくれた。

雅來「滝川の手作り?」

美空「...うん。」

雅來「マジかよ。食う!
ちょうだい!それ!」

美空「でも、鬼藤くんのお弁当が...」

雅來「いいって。こんなの。
滝川の手作りの方が絶対うまい!」
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