好きだから傷付ける

美空「でも、そんな。
私、料理とか得意じゃないから!
美味しくないと思う。」

雅來「んな訳ねぇだろ。
滝川が作ったもんが
美味くねぇ訳ねぇよ!
食っていい?」

美空「...どうぞ。」

私の作った卵焼きを一口食べた
鬼藤くんは口を動かす事をやめた。

美空「美味しくないよね。
無理して食べなくていいよ!
こんなお弁当...」

鬼藤くんの手からお弁当を
取ろうとするとその手を止めた。

雅來「何これ。マジで美味い!
俺、こんなにも美味い卵焼き
食った事ない!」

幼い子供のような笑顔を見せる
鬼藤くんの姿を見て
私も嬉しくなった。

それがお世辞だったとしても
褒められるのはやっぱり嬉しい。

何を食べても一言一言。
鬼藤くんは美味いって言ってくれた。
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