リライト
「…うるさいな、わかってるわよ。わかってることいちいち言わないで」
流れ落ちる涙をハンカチで拭う。涙でもうハンカチもびしょ濡れだ。
代わりに掌で目を擦り涙を止めようとするけれどもやはり溢れ出て止まらない。
「そんなに泣かないで下さいよ、俺が泣かせてるみたいじゃないですか」
「そう思うならさっさと帰るか悪態つくのやめなさい」
彼の方を一切見ずに言うと、空を見上げる。
絶望一色のあたしとは正反対で空は茜色に染まりまもなく星降る夜となる。キラキラが溢れる世界にあたしだけが暗闇に取り残された気分だ。その上泣き過ぎたせいだろうか、頭まで痛くなってきた気がする。全く最低の気分だ。
「どっちもやめません。俺、嫌な奴だから。
けどそんなに嘆かなくても、未久さんには未久さんの運命の相手はどっかにちゃんといるってことじゃないですか?」
自嘲しながらも変わらず笑みを浮かべて、いつの間にか持っていたらしい缶コーヒーを片手に飲みながらそんな呆けた話をする。