リライト
そう言い切った彼は、あたしの額に再度口唇を落とし軽くキスをする。硬直して動けないあたしを尻目に軽やかな足取りでその場を後にした。呆けているあたしを置き去りにして。
あたしは暫く思考停止をしたかのようで、視線は送るけれど追いかける所か腰が抜けて動くことが出来なかった。
おかしい話だ、あれほど辛く悲しかったのに彼の行動、言動のおかげで記憶の片隅に追いやられてしまったよう。
色々な意味でドキドキが止まらない、こころに少し火が灯ったみたいだ。
「(次、どんな顔をして会えばいいのだろうか…)」
失った恋はこうして再度上書きされて、新たな恋として書き直しが始まったようだ