リライト
「(こんなのってあんまりじゃない!神様はなんて無慈悲なのよ!あたしが何したのよ!)」
一世一代の大勝負。…のはずだった。
初めての恋。大好きで溢れ出すこころ。
例え叶わなくても気持ちさえ伝われば幸せ、なんて一歩を踏み出したはずだった。けれど…。
「(勝負さえ出来なかった。それどころかあたしは舞台にさえ上がっていなかった。)」
涙が尽きる事はなく、ただただ壊れたラジオのように繰り返し何度もあの光景が目前に現れる。
「(確かにお似合いだもんなぁ、あたしなんで気付かなかったんだろ)」
思い起こす度更に胸が張り裂けそうになる。けれど自分では痛みに対する対処方法を見い出せない。ただ涙が溢れ、堪らない焦燥感と絶望感に急き立てられる。
「(もういい加減止まってよ…)」
そんな事ばかり考えていた、だからこそ周りの状況などに気が回らずに特に重いドアが開いたことに全く気付なかった。誰も来ない、そう過信していたから特に。
「うぅ…なんでよぅ…、なんで…」
「いつまでもそんなに泣いてると、唯でさえ残念な顔が更に磨きがかかって、もっと残念になりますよ。」