リライト
「別にー?ただ手酷く振られた様子の女性が顔を真っ青にして入って行くのが見えたからつい」
「るっさいな、そんなんじゃないって!もうあなたには関係ないんだからほっといてよ」
一睨みをして、再度顔を被う。それでも紛れない心の痛手に肩を震わせ小さく嗚咽を漏らす。
「うぅ…っ」
「……」
誰にも告げなかった秘めた恋。
傍から見たら随分と遅かった初恋だからかもしれない、大好きで憧れもした。だからこそこんなにも辛くて苦しくて切ないのかもしれない。
顔をあげ目線を合わせ精一杯の強がりを口にする。年下相手に情けないけれど。
「笑いたきゃ笑いなさいよ、いい歳こいて失恋したくらいで泣き崩れるバカな女って」
「…卑屈に捉えすぎですよ、未久さん。
笑うわけないでしょう。それだけ一途に想ってたんでしょ。」
思わない発言、驚き過ぎて涙も止まる。あの彼から意外な言葉に耳を疑う。
もしかしたら本当に、誰かに話せば良かったのかもしれない、恋話としても。せめて彼女にだけでも。
…いやいや、言わなくて良かったのだ。言ってしまっていれば彼女にも要らない苦痛を与えてしまっていたかもしれない。