一年後の花嫁
また、と言って去っていく背中をこんな気持ちで見送るのは、初めてじゃない。
「……まじかぁ……」
ゴールドの名札は、名誉の証。
黒のスーツ、毎朝きっちり固める髪の毛。
三十歳になったウェディングプランナーの俺の中に、十七歳の自分が重なった。
呟いた言葉の行先はわからない。
いや、たぶん、どこにも行けない。
また新たな呪縛が増えただけだ。
でも間違いなかった。
俺は、また恋をした。
長妻美波でも、加藤美波でも、川島美波でも、なんだっていい。
俺はあいつに、また恋をしている。