一年後の花嫁
「次、最終打ち合わせな。三十日」
「うん。わかった」
挙式まで、残すところ一か月ちょっと。
藤堂くんに会えるのも、あと二回。
あ、本番も合わせたら三回か。
それでちゃんと終わりにしよう。
ずっと夢に見ていたことが、今日現実になって。
きっとこれだけで、死ぬまで幸せを思い出せる。
「じゃあまた」
「……ん、また」
そんな寂しそうな顔しないでよ。
その顔は、あの日雑草をちぎりながら私を見上げた顔と、きっと同じだった。
今も、藤堂くんが好き。
そう言えるのは、心の中でだけ。
それを選んでしまったのは、自分なのだから。