一年後の花嫁
淡々と過ごす毎日。
長妻と会うことも話すこともない、退屈な日々が一年近く続いた頃だった。
二月五日。
一年前の今日、俺たちが気持ちを確かめ合った日。
夜の庭園。
案の定、モミジの木は寂しいけれど、そこに君がいた。
「藤堂くんっ」
「ふっ、鼻真っ赤」
「うるさいな、寒いの」
次第に目に溜まる涙。
「ほら泣く前に。うち行こ」
「……もうほんとうるさい。その上から目線、やめてよね」
「はいはい」
一年ぶりに会った彼女の髪は、頬のラインに沿って短く切りそろえられていた。
Fin.