オトナが始める!現在進行形初恋

 そっと目を閉じてまた思い出す。

 ……昨日、鮮明に思い出した中学時代。
 私と鷹野くんという私の王子様を引っつけようとして、ハルと仲間たちの遊園地での作戦は大失敗になったこと。
 「こんなやつこれっぽっちも好きじゃねぇよ」と言い放つ王子様。
 泣き崩れる私を慰める女の子達。
 最後に二人並んでジェットコースターに乗った時の、こぼれる涙もふかないままのハルの横顔。
 「お前の笑顔が見たかっただけなんだ」と辛そうに言うハル。
 「ハルハラは何も悪くないよ」と笑顔ができた私。
 次の日、意を決して、ハルに相談を持ちかけたこと。
 その日から始まった、あだ名で呼び合う二人の新しい関係。
 メモで何度もやりとりしあった授業中。
 部活が終わった夕焼け色の教室で二人っきりで話したあたたかな時間。

 私は昨夜、それからハルにさよならを言うまでの日々をやさしい気持ちで振り返っていた。何回も何回も。


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