神谷ナツカの虚空
そういえば今日は学校特有の唯一の楽しみとも言える、席替えがある。俺の学校はポリ袋に番号の書いた紙が入っていてその番号順に座るというものである。俺は一番左の列の後ろから二番目というなかなかのいいポジションの席に座ることが出来た。さらば、ナツカ。次の近くのやつは剱持とかがいいな〜。
すると、まるで何者かが操作しているかのように、またもやナツカが俺の後ろの席になっていたのだ!
...偶然だよなあ...。

「なあ、告白された男子を全員すぐに断ったって本当か?」
「ええ、本当よ。だって付き合ったやつは全員宇宙人でも地底人でもなく、普通のその辺にいる人なんだよ。もちろん振るに決まってるわ。」
そりゃそうだろ!
「でも、その辺にいる奴らだからある意味仕方ないとはわかってるんだけどね。」
ならなんで断らないんだよ!分かってるなら断れよ!!
「それに、告白が全部メールか電話だったのはなんでなの!?そういう大事なことは面と向かって言うのが普通でしょ!?」
「確かにそうかもしれないな。」
こういう時は同意しておくのが無難だ。でも、そのあとに反対の意見をいうことで多少は怒鳴られないかな、と考えあえて自分の考えも言うことにした。
「でもな、神谷、人間はどのように発達してきたかわかるか?それはな、なにかの障害に出会ってそれに人間は立ち向かうやつとあきらめたやつがいて、立ち向かったやつのなかで天才が新しいものを作り出してきたんだ。移動時間が無駄だから電車や飛行機を作った。ものを長持ちさせるために冷蔵庫を作ったんだ。俺たちのような凡人は静かにしておくのが安置なんだよ。わかったか?神谷。」
すると、彼女は机をだんっとたたき、急に立ち上がり、こういった。
「そんなの、ぜんっぜん面白くないじゃないの!」
どうやら、神谷の口癖は『全然』みたいだ。
「そんなこといわれてもなぁ、そうしか手がないんだ。」
すると彼女は案の定しょんぼりした。
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