神谷ナツカの虚空
無事、我がKY隊にパソコンがやって来た。機器の接続や設定などは全て俺がやったが、コンピュータ部のLANが部室まで飛んでいなかったので、先程のコネでLANケーブルの延長を全て無償でコンピュータ部にやらせたという。…何も言えねぇ…。ナツカたちが部室に戻ると、長谷川さんが一人悲しそうに俯きながらしゃがんでいた。
「長谷川さん、こんな部活に入っていてもいいことはないですよ?」
「いいんです。あなたもいるんですよね。」
…そんなこと言われてもなぁ。
「今日のようなことが何度も起きえないんですよ。」
すると彼女はいきなり、論理的な、また厨二のようなことを言い始めた。
「それに、この時空平面上では、仕方ないことかもしれませんし、それに剱持さんもいるし…。」
そう言った瞬間に長谷川さんはこちらを向いて何かいけないことに気づいたような顔をして、
「いや、何でもないです…。今言ったことは忘れてください…。それから、どうぞ私のことはかりんちゃんとお呼びください。」
と言った。
次の日も放課後に部活に行った。と言っても部員が足りないのでまだ部活とは正式には言えないのだが、まあいいだろう。それにしても、何故俺はわざわざ部活に足を運んでいるんだ?なにか行く必要があるのだろうか?そんなことを考えながら部室につくと、いつも通りナツカと剣持がいた。すると神谷は俺を待ちわびていたようだった。
「やっと来たわね、シン。あんたにはホームページの作成を頼むわ!なんてったって、我々の活動を宇宙人に知らせるツールが必要不可欠なんだからね!今日中にね!」
「了解した。」
少しの楽しそうという理由で引き受けてしまった。が、ホームページ作成といっても一体何を書けばいいんだろうか。俺自身、パソコンの操作には慣れたものだが、肝心の中身が思いつかない。

…うっ、俺寝ちゃってたのか…。格子の入った窓の外を見ると、もう太陽が橙色に照っていた。俺は、まだページを完成させていないことを思い出し、パソコンの画面を見た。すると、何故かそれっぽいページが完成されていたのだ!すると剱持が俺に初めて話しかけてきた。
「この本、貸してあげる。」
本の題名は『トルマリンの不思議』。剱持、お前の存在のほうが不思議だわ。ちなみに、彼女はちゃんと授業に出ているのだろうか?
< 17 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop