神谷ナツカの虚空
中には赤色のバニーガールと黒色のバニーガールがいた。もちろん、長谷川さんが赤色で赤髪にぴったりマッチしていた。
「じゃあシン、ビラ配り行ってくるわ!」
と言って神谷たちは校門に向かって走って行った。
でも、あの露出度でビラ配りって校則違反じゃないのか?俺の勘は無情にも鋭かったようで、出ていってからものの5分で部室に戻ってきた。
ガンツ
神谷はいかにも一触即発といった顔でパソコンの前の“団長専用イス”に座りこう話した。
「ビラはまだ半分以上も残ってるし、登校してくる奴らは変な目で見てくるし、私は生徒指導室に呼ばれるし、かりんちゃんはわんわん泣き出すし、筋肉バカの渡部は来るし、ほんと災難だったわ。ぜんぜんっ意味わかんないわ!」
そりゃ仕方無いさ、そんな格好なら。
長谷川さんは部室に戻ってきてもずっと小声で喘ぎながら泣いている。
「もう今日は部活終わり!解散。」
そう言って神谷はずたずたと部室を出ていった。
長谷川さんは神谷に振り回されて精神がズタボロになっていた。
「シンくん、もし私がお嫁に行けなかったら…もらってくれますか…?」
彼女はそう言い放ち階段を降りていった。その様子はA判定だった学校に落ちた大学生か、はたまたローンで家を買い、首にされたサラリーマンのようだった。
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