神谷ナツカの虚空
いきなり飛びすぎかもしれないが、翌日の放課後!
俺が呑気に部室に入ると、神谷が長谷川さんと着替えさせている真っ最中だった。俺は喜ぶとかそういう訳ではなく、ただただ犯罪を目の当たりにしたようで驚いていた。そして、神谷は『やべ、見られた!』という表情で、また長谷川さんは顔を真っ赤にしてこっちを見ていた。俺は慌てて部室から出てドアを閉めた。

物音が収まると俺は恐る恐るドアを開けた。よかった、着替えは終わっていたようだ。長谷川さんはメイド服に無理やり着替えさせられていたのだ。
「ん~っ、やっぱりメイド服を着せると可愛さが増すわね!これから部活に来たときはメイド服に着替えなさいよ~!!」
「え~っ、いやです…。」
それから神谷は写真撮影をする、と言い出し、俺にカメラを渡してきた。仕方ないので俺は長谷川さんの写真を大量に撮影した。
流石に見てるこっちも心が痛むので俺は神谷に辞めるよう指示しようとした。その時あることを思い出した。それは俺は川上も一緒に連れてきたということだ。慌てて彼を探すと丁度部室に着いたところだった。
「おやおや、いったい何をしているんですか?」
「おぅ~!いいところにきたわね!さあ、みんなでかりんちゃんをいじめてあげましょう!」
「遠慮しておきます。どうぞ僕のことは気にしないで、続けて下さい。」
いや、お前も心配しておげろよ…。
「神谷、いい加減にしろ。このままじゃ、いろんな法律に引っかかる。」
「法律?そんなもの関係…やっぱりいいわ。」
そして、彼女はパソコンを起動し、長谷川さんの写真のデータをコピーした。そして、それをなんとKY隊のホームページに掲載しようとしたのだ!俺は長谷川さんの個人情報の漏洩を防ぐべく、その画像をゴミ箱に持っていこう…と思ったがそれ惜しいのでファイル名を『karin』に変更して保存しておいた。
「ちょっとシン、なんてことするのよ!ああ、せっかくの写真が台無しだわ…。」
そういいながら神谷は椅子の上に立ち、こう言った。
「それでは第1回KY隊ミーティングを開始します!」
「我がKY隊は今日におけるまで様々な活動をしてきました。ホームページの開設や部員募集など、それによってこの部活の知名度はすさまじいスピードで上がっています。ですが、この部の本来の目的である"宇宙人や未来人との遭遇"には至っていません。なので、今週の日曜日、駅前の喫茶店に朝の9時までに集合してください。詳細は当日伝えます。以上。」
これで今日の部活は終わった。
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