神谷ナツカの虚空
「シンくん~。起きて~。朝ごはんで来たってママが…。」
妹の声が聞こえた。目覚まし時計が『9』にほとんど重なるぐらいの時間になっていた。俺はやばい、と思い急いで朝ごはんを食べ、駅前の公園に向かった。
到着した時刻は『9:10』。家が駅に近かったから被害は少なかった。それでも神谷は俺に牙を向けた。
「やあやあ、みんなごめん、寝坊し…。」
「遅いわ、シン、罰金よ!」
とほほ…。
俺たち、つまり長谷川さん、剱持、川上、神谷、俺は喫茶店に入り、神谷から話を聞くことになった。ちなみに罰金はここでの利用料金全額おごるというものだった。
「今日は二手に分かれて駅の東側と西側で捜索を行うわよ。そして、非科学的な現象に出会ったり、何か、ニュースになるようなものがあったりしたら携帯ですぐにれんらくするのよ。その方が効率的でしょ?じゃあこの爪楊枝の先の色で決めるわね。」
といって、神谷は店の爪楊枝に赤色のペンで先端に色を塗り始めた。
「はい、みんな一本ずつひいて!」
結果はなんと、俺と長谷川さんのグループと神谷と川上と剱持のグループに分かれた。今日はついてるな。まあ、長谷川さんと2人っきりでデートできるのなら、このおごりも安いもんだな…。
「いい?シン、これはデートじゃないんだからね?」
「わかってるよ。」
もちのろん、建前。
駅を出てからも、神谷たちは俺に
「いい?マジでデートじゃないからね、遊んでたら罰するわよ!」
と言い残し、去っていった。
神谷たちは東側を探索し、俺たちは西側を探索しろ、というのだが…。
「一体、何をすればいいんでしょうか…?」
そうだよね。
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