神谷ナツカの虚空
駅の西側は俺は行ったことがなかったのだが、天井川が綺麗で、整備もきちんと行われていて、清楚な雰囲気だった。鳥のさえずりが聞こえる、落ち着いた場所でもあった。
「私こんなふうに出歩くの、初めてで…。」
「こんな風にとは?」
「あの、男の人と二人で出歩いたりとか…。」
「それはとても意外ですね。長谷川さんのそのルックスなら結構モテると思うんですけどね。」
すると、彼女はまた前のようなことを喋りだした。
「いや、私は人と付き合うわけにはいかないんです。少なくとも…。」
またあの時のように彼女は口を閉じた。でもそのあとの行動が今までと違っていた。
「シンくん、私はあなたに話さなければいけないことがあります。」
彼女はベンチに座り、まるで重い門を開けることができたかのように、突然流暢に話し始めた。
「あの、聞いても信じてもらえないかもしれませんが、私は本来この時空平面上にいるはずのない、未来からやって来ている者なんです。」
似たいような話を少し前にも誰かから聞いたな。
それから長谷川さんはいろんなたとえを使って俺に分かりやすく教えようとしてくれた。でも、それらはすべてやはり聞き覚えのある言葉で構成されていた。最後のあたりなんか『もろ』そうだった。『3年前に大きな時間平面の振動が起きて、その原因が神谷ナツカ』とか。『時間平面の移動を不可能にしたのも神谷ナツカ』とか。宇宙人の次は未来人が現れたのか。俺は驚く以外何もできなかった。ただ、これだけは確実だということが分かった。それは、川上も未来人か宇宙人かそれに準じる生態系の者だということだ。
「私こんなふうに出歩くの、初めてで…。」
「こんな風にとは?」
「あの、男の人と二人で出歩いたりとか…。」
「それはとても意外ですね。長谷川さんのそのルックスなら結構モテると思うんですけどね。」
すると、彼女はまた前のようなことを喋りだした。
「いや、私は人と付き合うわけにはいかないんです。少なくとも…。」
またあの時のように彼女は口を閉じた。でもそのあとの行動が今までと違っていた。
「シンくん、私はあなたに話さなければいけないことがあります。」
彼女はベンチに座り、まるで重い門を開けることができたかのように、突然流暢に話し始めた。
「あの、聞いても信じてもらえないかもしれませんが、私は本来この時空平面上にいるはずのない、未来からやって来ている者なんです。」
似たいような話を少し前にも誰かから聞いたな。
それから長谷川さんはいろんなたとえを使って俺に分かりやすく教えようとしてくれた。でも、それらはすべてやはり聞き覚えのある言葉で構成されていた。最後のあたりなんか『もろ』そうだった。『3年前に大きな時間平面の振動が起きて、その原因が神谷ナツカ』とか。『時間平面の移動を不可能にしたのも神谷ナツカ』とか。宇宙人の次は未来人が現れたのか。俺は驚く以外何もできなかった。ただ、これだけは確実だということが分かった。それは、川上も未来人か宇宙人かそれに準じる生態系の者だということだ。