神谷ナツカの虚空
「うわあ!いってえよ!」
俺は包丁がもの見事に刺さったように感じ、悲鳴を上げた。だが、それは幸い俺の勘違いで、実際は俺を助けに来た何かがこの宇宙のような閉鎖空間から入ってきたときに同時に入ってきた突風だった。その、助けに来た何かは俺はすぐに理解した。
目の前で剱持が素手で包丁を止めていた。
「閉鎖空間へのプログラムが甘い。側面部を含むすべての面の情報閉鎖が非常に甘い。だから私はこのことを簡単に察知できた。侵入を許すような状態になっていた。」
「何故私の邪魔をするの?彼を殺したら神谷ナツカの情報爆発が起こるのに。もうそれしか方法がないのよ。」
「あなたは私のバックアップのために作られた。だから原則私の命令に従うべきだ。勝手な真似は許さない。」
「嫌だ。」
「それなら情報結合を解除する。」
すると熊谷さんは不敵に微笑み、
「ふふふっ。面白いわね。でもここでは私の方が有利なはずよ。」
すると、剱持は熊谷さんに呆れたのだろう、強制的に話を進めた。
「情報結合の解除を申請する。」
すると、不思議なことに剱持の握っていた包丁が先っぽから徐々に透明化したのだ。すると、熊谷さんは後ろに下がり、右手でエネルギーをため、俺に向かって衝撃波をはなってきた。俺はどうすることもできないが、剱持が片手でバリアを張り、一切を跳ね返した。俺がその衝撃で吹っ飛びそうになると、彼女は『離れないで。』と言った。
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