神谷ナツカの虚空
「おい、剱持、救急車呼んだ方がいいか?」
俺は彼女が血みどろだったので思い切って言った。
「身体的な損傷は情報の損傷と比べて少ない。だから平気。今からこの教室の復元を開始する。」
そして、この空間は見事、元の教室に戻った。
その時、剱持はいつもかけている眼鏡をかけていなかった。
「なあ剱持、眼鏡かけないのか?」
その時、彼女は、『はっ…!』と何かに気づいたような顔をした。
「眼鏡の復元を忘れていた。」
「俺は眼鏡かけてない方が可愛いと思うぞ。」
「…。」
彼女は照れず、真顔のままだった。
「ふんふん、わすわす忘れ物♪ふふふん~。」
そこへタイミング悪く、網本が来た。
「ん?うわっ!」
いや、もしかしたらもしかすると、この状況は押し倒されてきたようにも見えるわけでして…。
彼はネクタイを少し整え、
「ん゛んっ、すまん、こういうの無理!」
と言って走ってどこかに行ってしまった。
「あの人面白いね。」
そんなことどうでもいい、これからのあいつとの付き合いが困る…。
「ああ、どうすっかなぁ。」
「任せて。情報操作は得意。」
おおっ?
「熊谷彩月は転校したように情報を変更する。」
そっちかよ!
などど、つっこんでいる場合では無い。俺はとんでもない体験をしてしまったのではないか。剱持が単なる妄想少女ではなく、本当に宇宙人なのかもしれない、いやそう信じざるを得ない。俺は一体何を信じればいいのだろうか。

第二章 革 終
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