神谷ナツカの虚空
俺はここに来た本来の目的を実行すべく、パソコンをの電源を付けた。すーっ、というファンの音と共に画面が少し明るくなった。そして、左上には『_』と、細い線が点滅していた。そう思ってすぐ、こんな表示が出た。

<YUI.K>見えるか。_

俺はその『YUI.K』が何を意味するかを悟った。俺はこれが唯一の連絡手段だと確信し、連絡を続けた。

ああ、見えるとも。_

俺がそう打つと、直ぐにまた下に一文字ずつ文が表示されていった。

<YUI.K>閉鎖空間とこちら側の世界の連結はまだ完全には途絶えていない。だが時間の問題。_

どうすればいいんだ?_

<YUI.K>どうにもできない。情報統合思念体も諦めかけている。神谷ナツカは何も無い所から情報を生み出している。この能力は情報統合思念体にも無い。この能力の解析を行えば私たちにも自律進化の可能性がある。_

<YUI.K>だが、職員_

おい、何故止まったんだよ。

<YUI.K>sleeping beauty_

パソコンの電源が落ちた。
結局、俺は心の中に複雑なものを投げ入れられただけだった。
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