神谷ナツカの虚空
いったいどうしろって言うんだよ、剱持…。最後の、確かsleeping beautyだったかな。直訳すると、『美しく死んでいる』か…。一体どういう意味なんだろうか?その時、俺の視界が真っ暗になった。後ろを振り返ると、光が差し込んで真っ白で何も見えなかった。ある程度収まったか、と思い後ろを向くと、最悪なことに獣人が、それも校舎よりも大きなものが後ろに佇んでいた。
バンッ
「シン!何なのあの変な怪物!遂に出てきたくれたわ!私の目がおかしいわけじゃないわよね!いったい何かしら、宇宙人が地底人の開発したエージェントか、それとも、、、なんだろう!」
神谷はさっきまでの暗い顔とは裏腹に、とても嬉しそうに俺の目を見つめながらそう言った。やはり、この世界は神谷が喜ぶように作られているようだ。俺はこのままでは神谷だけでなく、俺までもがこの世界に取り残されてしまうと思い、神谷の手をしっかりと握りしめて校庭に向かった。この惨事をしっかりと理解してもらうためだ。
ガンッ
文化棟が横にゆらっと揺れて、窓にヒビが入った。天井からはコンクリートの欠片がかさかさと落ち、階段の手すりは折れて、取れかけた。俺と神谷は壁に当たりながら倒れた。このままではまずい。俺は疲れているはずなのに全速力で走ることができた。しかし、神谷は俺が考えていた最悪の返答を、それも甲高い声で叫んだ。丁度、校舎から出て、曲がり角を曲がった時だった。
「シン、私ずっとここにいたいわ!こんなにも謎の溢れた世界って私初めてだわ!」
「いや、ここにいてもお前の家族や友人、長谷川さんや剣持だって誰もいないぞ。それに…」
俺はぜいぜいと息を吐き、走りながら喋り、校庭に無事着いた。そして、息を整えた。
「ご飯だって食べられないし、体を洗う事さえも出来ないんだぞ!当たり前のことができなくなるんだぞ!」
「そんなことどうだっていいわ!」
彼女は即答した。さぞ嬉しそうに。
「何故かなんとかなりそうな気がするの、私。今ちょっと楽しいかもしれない。何もなくても大丈夫な気がするの。」
「俺は帰りたいんだ。こういう状況下で気づいたんだ。あの頃の俺はなんだかんだ幸せだったんだ。網本や川口、渡部、それに俺を消そうとした熊谷も含めてもいい。」
「きっと会えるわよ!この世界も明日になれば太陽がまた昇ってくるわ!そしたらみんなで遊べるわね!」
「そうじゃない。俺は元の世界のあいつらに会いたいんだ。」
俺がそう言ったとたん、彼女は動きをピタッと止めた。おまけに、表情さえも失った。
「あんただって、もっと面白いことが起きてほしいと思ってたんじゃないの?つまんない世界だと思っていたわけじゃないの?」
彼女は眉をまげて俺に訴えかけた。
ガーンッ
獣人が校舎を殴り倒した。もう終わりかもしれない。
「いいや、思ってたとも。面白いことにお前が気づいてないだけだ。お前は知らないだろうが、確実に世界は面白い方向に、神谷にとって面白いと思えるようになっているはずだ。」
俺にとって神谷という存在は何なんだ?時空のゆがみでも神でもない。ただのクラスメートで後ろに座ってる輩、という訳でもない。もっと具体性のある答えを出したい。一体何なんだ、神谷は。
その時、長谷川さんのあの言葉を思い出した。
「シンくん、白雪姫の物語って知ってますか?」
sleeping beauty
そうか、そういう事だったのか。
俺は神谷を自らの体に少し寄せ、少し、いや、頭のおかしいような事を言った。
「神谷、お前のポニテは非常によく似合っていたぞ。」
そして、俺は無理やり彼女とキスを交わした。すると、頭がくらっとするような感覚に襲われた。そして、意識を失っていた。
バンッ
「シン!何なのあの変な怪物!遂に出てきたくれたわ!私の目がおかしいわけじゃないわよね!いったい何かしら、宇宙人が地底人の開発したエージェントか、それとも、、、なんだろう!」
神谷はさっきまでの暗い顔とは裏腹に、とても嬉しそうに俺の目を見つめながらそう言った。やはり、この世界は神谷が喜ぶように作られているようだ。俺はこのままでは神谷だけでなく、俺までもがこの世界に取り残されてしまうと思い、神谷の手をしっかりと握りしめて校庭に向かった。この惨事をしっかりと理解してもらうためだ。
ガンッ
文化棟が横にゆらっと揺れて、窓にヒビが入った。天井からはコンクリートの欠片がかさかさと落ち、階段の手すりは折れて、取れかけた。俺と神谷は壁に当たりながら倒れた。このままではまずい。俺は疲れているはずなのに全速力で走ることができた。しかし、神谷は俺が考えていた最悪の返答を、それも甲高い声で叫んだ。丁度、校舎から出て、曲がり角を曲がった時だった。
「シン、私ずっとここにいたいわ!こんなにも謎の溢れた世界って私初めてだわ!」
「いや、ここにいてもお前の家族や友人、長谷川さんや剣持だって誰もいないぞ。それに…」
俺はぜいぜいと息を吐き、走りながら喋り、校庭に無事着いた。そして、息を整えた。
「ご飯だって食べられないし、体を洗う事さえも出来ないんだぞ!当たり前のことができなくなるんだぞ!」
「そんなことどうだっていいわ!」
彼女は即答した。さぞ嬉しそうに。
「何故かなんとかなりそうな気がするの、私。今ちょっと楽しいかもしれない。何もなくても大丈夫な気がするの。」
「俺は帰りたいんだ。こういう状況下で気づいたんだ。あの頃の俺はなんだかんだ幸せだったんだ。網本や川口、渡部、それに俺を消そうとした熊谷も含めてもいい。」
「きっと会えるわよ!この世界も明日になれば太陽がまた昇ってくるわ!そしたらみんなで遊べるわね!」
「そうじゃない。俺は元の世界のあいつらに会いたいんだ。」
俺がそう言ったとたん、彼女は動きをピタッと止めた。おまけに、表情さえも失った。
「あんただって、もっと面白いことが起きてほしいと思ってたんじゃないの?つまんない世界だと思っていたわけじゃないの?」
彼女は眉をまげて俺に訴えかけた。
ガーンッ
獣人が校舎を殴り倒した。もう終わりかもしれない。
「いいや、思ってたとも。面白いことにお前が気づいてないだけだ。お前は知らないだろうが、確実に世界は面白い方向に、神谷にとって面白いと思えるようになっているはずだ。」
俺にとって神谷という存在は何なんだ?時空のゆがみでも神でもない。ただのクラスメートで後ろに座ってる輩、という訳でもない。もっと具体性のある答えを出したい。一体何なんだ、神谷は。
その時、長谷川さんのあの言葉を思い出した。
「シンくん、白雪姫の物語って知ってますか?」
sleeping beauty
そうか、そういう事だったのか。
俺は神谷を自らの体に少し寄せ、少し、いや、頭のおかしいような事を言った。
「神谷、お前のポニテは非常によく似合っていたぞ。」
そして、俺は無理やり彼女とキスを交わした。すると、頭がくらっとするような感覚に襲われた。そして、意識を失っていた。