神谷ナツカの虚空
「じゃあまず手始めにノックやるわよ~!」
ノック、というのは野球物の漫画とかでよくあるあの、1人がボールを投げてもう一人がバットでその球を打つ、というものだ。
「何本だァ?」
野球部員がめんどくさそうに言った。なんといっても練習を邪魔された上にその邪魔したやつにボールを投げてあげる役をしなければならないのだから。
「んー…じゃとりあえず千本ね!」
神谷が当たり前のように言った。だが野球部の練習でも、そこまですることはなく、部員はぽかんとしていた。
「早くしなさいっ!」
神谷がむっとした顔で言った。それにつられて部員たちもはいっ、と返事をした。
カンッ
一球目から気持ちのいい音が鳴った。そして、俺の真横をひゅっ、と通り抜けていった。
かッ
「危ないわよ!シン!」
神谷の大きな声が聞こえた。俺は反射的にしゃがみ込んだ。前からは俺にめがけて飛ばしたかのように弾が迫ってきていた。危うく事故になるところだった。
「もう、ちゃんと取りなさいよ!このボール一つ一つにKY隊のすべてがかかってるのよ!」
こんなにも小さい球で俺たちの運命が決まってしまうとは、何たる屈辱か、そう思わざるを得ない状況だった。俺はボールを取ろうとしてるように見えて、避けようとしているだけだった。神谷はそれに気づいているのか否か、解らなかったがとにかく投げ続けていた。それもとっても笑顔で嬉しそうに。俺はそれを見てもうこのままでいいや、と思ってしまっていた。
ノック、というのは野球物の漫画とかでよくあるあの、1人がボールを投げてもう一人がバットでその球を打つ、というものだ。
「何本だァ?」
野球部員がめんどくさそうに言った。なんといっても練習を邪魔された上にその邪魔したやつにボールを投げてあげる役をしなければならないのだから。
「んー…じゃとりあえず千本ね!」
神谷が当たり前のように言った。だが野球部の練習でも、そこまですることはなく、部員はぽかんとしていた。
「早くしなさいっ!」
神谷がむっとした顔で言った。それにつられて部員たちもはいっ、と返事をした。
カンッ
一球目から気持ちのいい音が鳴った。そして、俺の真横をひゅっ、と通り抜けていった。
かッ
「危ないわよ!シン!」
神谷の大きな声が聞こえた。俺は反射的にしゃがみ込んだ。前からは俺にめがけて飛ばしたかのように弾が迫ってきていた。危うく事故になるところだった。
「もう、ちゃんと取りなさいよ!このボール一つ一つにKY隊のすべてがかかってるのよ!」
こんなにも小さい球で俺たちの運命が決まってしまうとは、何たる屈辱か、そう思わざるを得ない状況だった。俺はボールを取ろうとしてるように見えて、避けようとしているだけだった。神谷はそれに気づいているのか否か、解らなかったがとにかく投げ続けていた。それもとっても笑顔で嬉しそうに。俺はそれを見てもうこのままでいいや、と思ってしまっていた。