神谷ナツカの虚空
そんなこんなで試合の日が来た。若干空は曇っていて試合日和という訳では決して無かった。グラウンドでは市の職員らしき人たちがとんぼで地面を整えていた。客席は相手選手らの家族らしき人がちらほらいるぐらいで、もちろんこちら側の応援はいない。俺は神谷や川上に遅れて、川口と網本を連れて来た。
「皆さんおはようございます、一年の網本です。今日はよろしくお願いします。でこの人が…」
「遅れてすまないっ!俺は一年の川口だ!体調は万全にしておいたぜ!ちなみに彼女は絶賛募集中ですっ!で、こっちが親友のシンだ!」
網本のローペースな話し方からのTheお調子者、といわんばかりの川口。こんなやつらで良かったのか?そして俺についての説明が少なすぎないか?
「あっ…どうも、よろしくお願いします…。」
「こちらこそ不束無い様に懸命に対応しますので、その節はお願いします。」
長谷川さん、川上と続いた。二人とも元気そうだった。長谷川さんの隣には笑顔が素敵で、高身長でポニーテール、髪のおしりあたりは少しパーマがかかっていた。
「えーっと、この方が、書道部の早川さんです。」
そういうと隣の人が嬉しそうに前に出てきた。
「君達がKY隊の人たち?ふーん。かりんがお世話になってるわ!よろしくね!」
彼女は長谷川さんとは対照的に早口で喋った。いかにもわいわいしてそうな人だった。
「んで、今のところメンバーはシン君、川上君、川口君、網本君、かりん、神谷さん、で私の七人かしら?後の二人はどうするの?」
「剣持さんを忘れていますよ。もう一人は…確かシン君、君が連れてきているんですよね?」
川上が笑顔でごまかすように言った。もしかしたら、剣持の力でこの弱小チームでも勝つことができるかもしれないのに、本当にただの野球の試合になってしまう。そして、もう一人、というのは…
「シンくん、私のこと忘れてないでしょ?あなたの妹よ〜?」
そう、目覚まし代わりの我が妹だ!と言っても野球経験があるだとか、そういうわけではなく普段野球実況を見ていて私もやってみたい!と日々嘆いていたからだ。なので勿論戦力になるわけでもなく…。
「シン、ちょっと来なさい!」
俺はいわゆる高校教師のように威張った神谷に腕を引かれ(?)た。
「あれは一体何なの?私達が出場するのは小学生の大会でも、こう、いろんな年齢層が集まってする大会でもないのよ!相手は全員高校生球児よ!」
神谷は強気に俺に訴えた。
「それにしても人の妹に『あれ』とは失礼な。なかなか可愛いとは思わないか?」
「…んっ、まあその点だけは否めないわね…。」
彼女はそっぽを向いて言った。だが俺は可愛いから妹を連れてきた、つまり、なんだろう、例えば可愛さで相手チームの翻弄ふるという訳でも当たり前だが違う。俺はあと1人追加するメンバーにかかわらずこのチームは負ける、と確信していたからだ。まあ仕方ないことだろう、相手は毎日構内のグラウンドで日が沈むまで練習してるし、俺らは野球初心者をかき集めたようなものだからな…。
「でもよく考えたらいいハンディキャップになるのかも知れないわ!あんまりボコボコにしちゃうと相手も萎えちゃうかも知れないからね…。」
神谷は笑顔で腕をこまねいてそう言った。どうやらネタではなかったらしい。
「皆さんおはようございます、一年の網本です。今日はよろしくお願いします。でこの人が…」
「遅れてすまないっ!俺は一年の川口だ!体調は万全にしておいたぜ!ちなみに彼女は絶賛募集中ですっ!で、こっちが親友のシンだ!」
網本のローペースな話し方からのTheお調子者、といわんばかりの川口。こんなやつらで良かったのか?そして俺についての説明が少なすぎないか?
「あっ…どうも、よろしくお願いします…。」
「こちらこそ不束無い様に懸命に対応しますので、その節はお願いします。」
長谷川さん、川上と続いた。二人とも元気そうだった。長谷川さんの隣には笑顔が素敵で、高身長でポニーテール、髪のおしりあたりは少しパーマがかかっていた。
「えーっと、この方が、書道部の早川さんです。」
そういうと隣の人が嬉しそうに前に出てきた。
「君達がKY隊の人たち?ふーん。かりんがお世話になってるわ!よろしくね!」
彼女は長谷川さんとは対照的に早口で喋った。いかにもわいわいしてそうな人だった。
「んで、今のところメンバーはシン君、川上君、川口君、網本君、かりん、神谷さん、で私の七人かしら?後の二人はどうするの?」
「剣持さんを忘れていますよ。もう一人は…確かシン君、君が連れてきているんですよね?」
川上が笑顔でごまかすように言った。もしかしたら、剣持の力でこの弱小チームでも勝つことができるかもしれないのに、本当にただの野球の試合になってしまう。そして、もう一人、というのは…
「シンくん、私のこと忘れてないでしょ?あなたの妹よ〜?」
そう、目覚まし代わりの我が妹だ!と言っても野球経験があるだとか、そういうわけではなく普段野球実況を見ていて私もやってみたい!と日々嘆いていたからだ。なので勿論戦力になるわけでもなく…。
「シン、ちょっと来なさい!」
俺はいわゆる高校教師のように威張った神谷に腕を引かれ(?)た。
「あれは一体何なの?私達が出場するのは小学生の大会でも、こう、いろんな年齢層が集まってする大会でもないのよ!相手は全員高校生球児よ!」
神谷は強気に俺に訴えた。
「それにしても人の妹に『あれ』とは失礼な。なかなか可愛いとは思わないか?」
「…んっ、まあその点だけは否めないわね…。」
彼女はそっぽを向いて言った。だが俺は可愛いから妹を連れてきた、つまり、なんだろう、例えば可愛さで相手チームの翻弄ふるという訳でも当たり前だが違う。俺はあと1人追加するメンバーにかかわらずこのチームは負ける、と確信していたからだ。まあ仕方ないことだろう、相手は毎日構内のグラウンドで日が沈むまで練習してるし、俺らは野球初心者をかき集めたようなものだからな…。
「でもよく考えたらいいハンディキャップになるのかも知れないわ!あんまりボコボコにしちゃうと相手も萎えちゃうかも知れないからね…。」
神谷は笑顔で腕をこまねいてそう言った。どうやらネタではなかったらしい。