神谷ナツカの虚空
ゴールデンウィークが過ぎ、入学して早1ヶ月。教室に入ると、やはりナツカがいた。ゴムが赤色だったからか、「今日は火曜日か...。」なんて考えながら椅子に座った。その時何故なのかわからないがこんなことが頭に浮かんだ。そして俺は神谷ナツカに話しかけていた。
「なあ、1週間でその髪結んでるやつの色変えるのはもしかして宇宙人とかそういうものの対策なのか?」
ナツカはいつも通り不機嫌そうな顔をしていたが、意外な答えが返ってきた。
「...いつ気づいたの?」
なんと俺の予測は図星だったようだ。
「少し前。」
「あっそ。」
「...私思うんだけど、曜日によって色の感じ方があると思うのよね。月曜は黒、火曜は赤、水曜は青、木曜は緑、金曜は金色、土曜が茶色、日曜が白よね。」
なんとなくわかる気もするな。
「...」
ナツカは俺をじっと見つめた。そして見つめた。また見つめた。
「私、あんたと会ったことあるかな?ずっと前に?」
俺は率直に答えた。
「いや、ないと思うけど。」
きっかけっていうものはきっと些細なことから始まるもんだ。まさかそれがこのような形で出てしまうなんて全く感じてなかったのだが。
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