溺愛総長様のお気に入り。
「え……」
拾って、そこに見えた文章に固まる。そして辺りをささっと見渡し、もう一度紙に目を落とした。
《二宮愛莉さんへ。突然お手紙を書いてすみません。二宮さんに一目ぼれしました。話したいことがあるので今日の放課後資料室まで来てください。待ってます。3年 田中》
一目ぼれした、って。
こ、これって……?
もしかしてラブレター?
そう思ったら急に心臓がバクバクしてきた。
だって、こんなのもらうの生まれて初めてだもん。
「どうかしたのか?」
「わあっ!」
声が聞こえて飛びのいた。
後ろに立っていたのは翔和さん。あたしがいつまでたっても退かないから邪魔だったみたい。
「す、すみませんっ」
慌てて退くと、翔和さんは不思議そうに首をかしげて。でも無言のまま最上段の靴箱を開けた。