溺愛総長様のお気に入り。
バサバサーッ!
その瞬間、雪崩のように落ちてくる色とりどりの封筒。
「ええっ!?」
まるで漫画のような光景に、目をパチパチさせる。
これ全部、ラブレターだよね。
こういうの、ほんとにあるんだ……。
すると、どこから現れたのか2人の男の子がそれをかき集めて……近くのゴミ箱に捨てた。
え、捨てちゃうの?
読まれずに捨てられちゃうラブレターが、かわいそうに思えてくる。
驚くあたしとは対照的に、翔和さんはそれが当たり前とでもいうように見向きもせず、上履きを履くと階段を昇って行った。
翔和さんの人気ってすごいなぁ……。
改めて感心しながら、あたしは手に持っていた紙を四つ折りにして、制服のポケットにしまった。