溺愛総長様のお気に入り。
「……っ」
南里くんはなにか言いたそうな顔をしていたけど、それ以上なにも言うことなく教室を出て行ってしまった。
……あれ?
南里くんどうしたんだろう。
ふたりの物々しい雰囲気に、教室もシンと静まりかえった。
心配してくれたのに、あたしまで煌くんの肩を持つようなこと言っちゃったかな。
気になって追いかけようとしたとき、
「行くな」
グイっと腕を掴まれて、足がつんのめる。
「行くなよ」
「……っ」
「俺が守るって言っただろ?信じてるなら、行くな」
腕は掴まれたまま。
その瞳が切なそうに見えて逸らせない。
再び放たれた"守る"という言葉に、胸がジンジン熱くなる。
「……煌……くん」
そしてスッと手を離した彼は、そのまま南里くんとは違う後ろのドアから出て行ってしまった。