溺愛総長様のお気に入り。
箸を口先にくわえたまま目を丸くすれば。
「いや、別に俺が卵焼きに憧れるとかじゃねえよ」
「はぁ……」
「愛莉にとっての卵焼きになりたいって話」
「…………」
ごめんなさい。もっと意味がわからなくなっちゃった。
私にとっての卵焼きって……。
それって、喜ばしいことなのかもあやふやだ。
「そんな真剣に考えんなよ」
煌くんの指があたしの眉間に触れた。
しわが寄ってみたい。
スッと、額が軽くなる。
そしてそのまま口を開けるから、ん?と首を傾げた。
それにしても、煌くんは間違いなくイケメンだ。
男ギライのあたしでも、それは認めるほど。