溺愛総長様のお気に入り。


「あま」



その第一声に、苦笑い。そしてやっぱりと思う。



「甘いのは、嫌いですか?」



煌くんの口には合わなかったかな。



「愛莉は甘いのが好きなのか?」


「はいっ!」



卵焼きって、だし巻きが定番かも知れないけど、あたしは断然甘い派。


自分で作る卵焼きは、砂糖を入れて存分に甘くするんだ。


千春ちゃんに食べてもらったとき、『これお菓子だよ』って言われたっけ。



「ふーん。甘いのが、好き、ねえ」



なにか企んでるような瞳に、ん?と首をかしげると、



「まあ、俺も嫌いじゃないし」



それなら良かった。


ほっとして、思わず笑顔になるとあたしの手からお箸を奪う煌くん。


そして、もうひとつ残っていた卵焼きを掴んだ。


あっ……食べられちゃうのかな、そう思った瞬間。

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