溺愛総長様のお気に入り。

せっかく千春ちゃんが変身させてくれたのに、あたしには無意味だったんだ。


あたしなんて、可愛くなれないんだ……。


ツゥーーと頬に冷たいものが伝う。


やだ、どうして涙なんて出てくるんだろう。



「……っ、」



あたしが拭おうとするよりも早く、煌くんの手が伸びてきて、親指でそっとその涙を拭われた。


そして、そのまま胸元に手がおりて……開いたシャツのボタンを留めていく。


決して乱暴ではなく、優しく。


ドクン……ドクン……。


そんな行為に、胸が変に暴れる。



「愛莉、たのむからもっと自覚してくれ」


「……」



もうやだ。

わかってるよ。わかってるのに……。


そんなこと言われたら、やっぱり涙がでてきちゃう。



「俺以外の前で、そんな可愛い姿見せんな」

< 219 / 401 >

この作品をシェア

pagetop