溺愛総長様のお気に入り。
暴走の夜。
──それから数日後。
「今夜、走りがある」
お昼休みのあやめ。
いつものように最後の卵焼きを食べようとした時だった。
とっくに食べ終わっていた煌くんは、あたしの髪の毛をもてあそびながら、とんでもないことを口にした。
「走り……?」
それってもしかして……。
「愛莉も来いよ。暴走」
「えっ……」
箸でつまんだ卵焼きが、ぽろっと落ちる。
「あっ……」
それは咄嗟に伸ばした煌くんの手のひらでキャッチされ……、そのままあたしの口の中へ無事に収められた。
ポッと、熱くなる顔。
そんな顔でモグモグしているあたしはひょっとこ?ゆでダコ?
「なんて可愛い顔してんの」
「っ、」