溺愛総長様のお気に入り。
ああ……千春ちゃんにはもう何を言ってもムダみたい。
あたしは最後のひとりになっても、この雰囲気に絶対染まらないと心に誓ったとき。
「あーいりっ」
背後から肩に手を乗せられて、ビクンッと肩が飛び上がった。
ま、また男の子。
今度は誰……?
恐る恐る振り返ると。
「俺だって俺ー」
「なんだぁ」
「なんだーはねーだろ」
そう言って笑う彼の髪の毛は真っ赤で、両耳にはピアスが所狭しとついていて。
制服なんて……破けちゃったの?って心配になるくらい胸元がはだけていて。
腰まで思いっきり下げたズボンには、赤のベルトにシルバーチェーンがぶら下がっている。
男の子、しかもこんなにチャラい格好なのに、どうしてあたしが普通に喋れるかというと。
─────彼は、あたしの幼なじみだから。