溺愛総長様のお気に入り。


ほんとに、もう……。


特攻服を着てたって、いつのもペースは変わらない煌くんに、思わずこぼれてしまう笑み。


煌くんの動きが合図になったかのように、バイクのエンジンがかかり、それは後方まで連鎖していく。


ブオオオオオンッ……!!


体の奥底から響いてくる重低音。


黒塗りの車のドアが開けられ、いざ総長君臨……といったその姿に、鳥肌が立つ。


煌くんは、こんな大勢の人を従えるトップなんだ……。


それを目の当たりにして、いかに彼がすごい人なのかを肌で感じた。


ほんとにこの人、いつもあたしの膝枕で寝てる人……?


まるで夢でも見ている気分。



やがて走り出す無数のバイク。


夜の街に、それはまるで希望の灯りにように溶け込んでいく。


キレイ、だと思った。


こんなの、自分には一生縁のない世界だと思っていたのに。


はじめて見る景色に胸が震えた。

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