溺愛総長様のお気に入り。
「あっれー?」
トイレから戻るなり、千春ちゃんに突っ込まれた。
視線はあきらかに色づいた唇に向けられている。
ぎくっ。
「愛莉さん、これからデートでもあるんですか~」
「うっ……」
「そんなにおめかししてどこ行くの~?」
千春ちゃん!笑顔が黒いよ。
その勢いに引きぎみに答える。
「べ、べつにおめかしなんてっ……」
煌くんからメイク禁止令が出たから、これは自己満程度のものだもん。
唇くらい艶々させたいなって思うようになったの。
だったら周りの子はどうなるの!?って言いたいよ。
これくらいじゃ、煌くんだって気づかないだろうし。
「なんだかんだ、愛莉も分かりわかりやすいね~」
「え?どういうこと……?……あたしは全然わかんないのに」
後半を伏し目がちに言えば、笑う千春ちゃん。